麻黄湯で分かる君臣佐使
漢方は広く用いられているのですが、麻黄湯もその一つで良く処方されています。
麻黄湯は、一種類の生薬で構成されているのではありません。
構成されている生薬は、それぞれが持つ役割に応じて、君薬・臣薬・佐薬・使薬と4つに分けられています。
まず、君薬は主になる治療に役立ち主たる作用を発揮するものです。
次に、臣薬は先ほどの主薬のサポートをすることで、効果を上げやすくする役割があります。
そして、佐薬も同様に主薬をサポートし、現れる症状や合併症を治療するためにありますし、
主薬の毒性や味を緩和するためにも用いられています。
最後に、使薬は各種の作用を疾病部位まで届けたり、
それぞれの生薬の作用を調和したりする機能を持っています。
麻黄湯は、麻黄(君薬)、桂枝(臣薬)、杏仁(佐薬)、甘草(使薬)の生薬が合わさって効果を発揮するようになるわけです。
麻黄は、発汗を抑え肺の機能を整えて喘息を改善に効果がありますし、
桂枝は、さらに麻黄の発汗を抑える作用を増強します。
杏仁は、肺の機能を調整して調え喘息の改善をする作用を持っていますし、佐薬の甘草は生薬の作用を調和させるようになります。
ひと口に麻黄湯といっても、それぞれの生薬の役割を充分に発揮させることで効果が上がり症状を改善させられるというのは、
これまであまりご存じなかった方もいるのではないでしょうか。
生構成がもっと複雑なものでは、君薬だけでも2、3種類もあるものも珍しくありません。
このような構成で処方されると、君臣佐使の明確な働きが分かりにくくなってしまうこともあると言われています。
そのため、無理に構成を決定づけるよりも、
薬効と相互関係を探ることが大事だと漢方の分野では言われるようになっています。
普段から漢方薬を飲んだり、風邪の時に漢方薬の方が合っていたりする方もいらっしゃるでしょう。
生薬の構成を学んでみると、漢方薬の作用機序もより理解しやすくなるのではないでしょうか。