目次
はじめに
東洋医学では、体全体を一つのものとして捉え、
人間が本来持っている自然治癒力を高めるような医療を目指しています。
西洋医学では、ある症状が起こればその症状だけにアプローチしますが、
東洋医学ではその症状が体全体とどのように結びついているのかということを診ながら治療を行います。
ですので、同じ症状でも個人の体質や症状の現れ方によって治療法が異なります。
どのような治療法を取るのかを判断するのに用いられるのが、証の診断です。
証とは、患者の体質・体力・症状の現れ方などから全体的な体の状態を診断した結果を示します。
証の診断は東洋医学においては治療法を決定する重要なものであり、医師には証を適正に診断する目が必要とされます。
陰証と陽証
証は陰証と陽証に分けることができます。
これは東洋医学の基礎である陰陽の考え方と関係してます。
陰の代表は水で、抑制や静かな性質を持ち、陽の代表は火で、興奮や活発的な性質を持ちます。
つまり、陰の性質を持つ人は、体力が不足しており、消極的な傾向があります。
痩せ型の人が多く、声にも張りがありません。
また、多くの人が冷えに悩んでいます。
一方、陽の性質を持つ人は、体力が十分にあり、エネルギーに溢れています。
筋肉や骨格が発達しており、がっちりとした印象があります。
体温も高く、声に張りがあります。
陰と陽のどちらの性質を多く持っているかは生まれながらの体質やライフスタイルなどに影響されますが、
体全体で捉えた時、陰陽のバランスが取れていると体と心は健康な状態を維持することができます。
これは、生命活動に必要な気(き)・血(けつ)・水(すい)がバランスを保った状態で循環していることを示しています。
陰陽バランスが崩れた場合
しかしながら、陰あるいは陽のどちらかに極端に傾くと、体内の陰陽バランスが崩れ、気・血・水の流れに問題が起こり、陰証あるいは陽証と診断されます。
陰証とは陰の性質が強く出ている状態で、気・血・水の不足によって循環が悪くなっている状態を示します。
そして、陽証とは陽の性質が顕著な状態で、気・血・水が必要以上に多くなることで循環に支障が出ている状態を示します。