漢方薬はピラミッド構造ってホント!?~上品、中品、下品の「三品分類」~

漢方薬はピラミッド構造

三品分類とは西暦25年から280年頃の古代中国で、

当時の医師達の研究によって成立した医学書の神農本草経における薬の分類方法です。

神農本草経はしんのうほんぞうけいと読み、

中国の伝説の帝王で農耕や医薬を司る神農から名付けた医学書で、

365種の薬物を上品と中品と下品の三品に分類して記述しており、

病理と治療法を中心に記述された傷寒論や金匱要略とともに漢方のルーツとされています。

上品の読み方はじょうほんで、無毒で長期服用が可能な体質改善を目的とする120種の養命薬、

中品の読み方はちゅうほん、毒にも薬にもなり穏やかに作用する120種の養性薬、

下品の読み方はげほんで治癒力は高いものの毒が強く長期服用が不可能なため摂取量や期間に十分配慮する必要がある125種の治癒薬です。

この分類方では漢方は上品と中品、西洋の薬は下品に分類されますが、

西洋医学では上品と中品は治癒力が低いため健康食品という扱いで、薬とは認められていません。

東洋医学と西洋医学の観点の違いからくる分類であって、上品が良い薬とかピラミッドの頂点というわけではなく、

短期間での治癒を優先する西洋医学に対し、副作用が少ないことを重要視する東洋医学の観点から分けた分類です。

上品にはヨクイニンや人参やゴマや良質なアミノ酸を含む松葉、

クコや牡蠣や田七など摂取しすぎた場合は体外に排出される素材、中品には葛根や麻黄、

芍薬やネギや芹など食品としても大量に摂取すると害になる素材や、それらの素材から作られた小柴胡湯や葛根湯があります。

西洋医学では主な治癒薬として使われる下品は、漢方では上品や中品を補佐する薬として使われることから、

ピラミッドでいう底辺のような間違ったイメージを持つ人もいますが、

短期間なら病気の原因となっている邪毒を除くため東洋医学でも積極的に使われる薬です。

その場合は上品中品下品の割合を1対2対5対、

もしくは1対3対9対で配合するのが良しとされています。