「臓腑弁証」って何?大まかな概要と用語解説

目次

はじめに

東洋医学では臓腑弁証という言葉があります。

弁証とは診断・分析という意味を持ち、

病と病変を有する臓腑を分析するというのが、大まかな意味になります。

つまり五臓六腑の生理状態、あるいは病理的特性から、

病変の部位、それからどのような病気にかかっているかを探るということです。

五臓六腑とは

なお、五臓六腑とは心・肺・脾胃腸・肝胆・腎膀胱のことをさします。

ではどのような病理的特性が見られたら、

どのような病変が体内に現れているのかということについて解説していきます。

心の病証

まず心気虚というものについてです。

こちらは動悸や息切れ、めまいなどのことを指しています。

では病変はどのようなものになるかというと、

心の陽気不足による循環障害や心拍異常などということが推察された結果、

全身的衰弱や神経衰弱、不整脈や狭心症だと弁証(分析)されます。

これは心の病証についてでしたが、次は肺の病証について紹介します。

肺の病証

基本的にこの病証では呼吸器系や水分代謝における障害が見受けられることから弁証されます。

たとえば肺気虚ですが、こちらでは呼吸器系の機能低下から、

水分代謝が障害された結果、痰が多量に発生するというものです。

慢性気管支炎や肺結核、肺気腫などに見られる症状の総称です。

また風寒束表とは感冒やインフルエンザ、

咽頭炎などに見られる、悪寒や頭痛、くしゃみや鼻水の総称です。

脾胃腸の病証

次に脾胃腸の病証です。

こちらでは飲食物の消化や吸収、輸送や排泄に関係するものです。

消化不良や慢性胃炎、貧血などの場合には食欲不振や便秘などの症状が見られます。

これらを総称して脾気虚と言います。

東洋医学ではニンジンなどの補気薬や、陳皮などの理気化湿薬などを処方します。

肝胆における病証に於いては自律神経の失調や循環障害、

運動系の異常に加えて目の異常などから診断を下します。

たとえば目が霞んだり筋肉の引きつりが起こった場合には、

慢性肝炎や眼病、月経不順などと診断されるのです。

腎膀胱では身体や知能の発育異常や水分代謝障害などが見られるとされています。