目次
はじめに
中医学、漢方医学、韓医学の3種類は、総称して東洋医学と呼ばれていますが、
基本の理論は踏襲しながらも微妙な違いがあります。
起源は大変に古いもので、紀元前の昔にまで遡ることができます。
広大な中国大陸で生まれたわけですが、気候や地形による環境変化の違いによって、鍼灸や漢方薬を使った治療技術が別々に発展していきました。
中医学
中医学で最も重要視されている古典には、黄帝内経という書物があり、
具体的には素問と霊枢に分かれています。
黄帝とは伝説的な君主で、中国では神格化された存在ですが、中医学の理論を最初に構築した人物として記憶されています。
今から2000年ほど前の昔には、現在の漢方薬の多くが記載されている書物として、
傷寒論と金匱要略が編纂されています。
漢の時代には実践的な医療として浸透し、やがては朝鮮半島に伝えられて、韓医学として成長することになったのです。
飛鳥時代から奈良時代の間には、日本にも中医学の理論が伝えられ、漢方医学として独自に発展するようになりました。
韓医学
韓医学については、朝鮮人参を巧みに使った方法を編み出して、
宮廷においても重要な役割を担っていました。
日本では平安時代には漢方医学の本格的な学術本が編纂され、有能な人材が輩出されています。
やがては後世派や古方派などの流派に分かれて、活発な論争を繰り広げるようになりました。
3種類の東洋医学の近代化以降
3種類の東洋医学は、近代化以降になると厳しい立場にさらされますが、
長年の研究成果を活かして対処してきました。
中医学は西洋医学と調和する形で、客観的なデータも用いて診断を行うために、現代でもしっかりと受け継がれています。
韓医学についても、生薬の研究成果のおかげもあって、貴重な遺産として受け継がれています。
日本の漢方医学の場合には、本家の中医学にはない漢方薬を開発したり、鍼灸では管鍼法という技術を考案したことで有名です。
このような独自な技術もあることから、明治時代には存亡の危機を迎えても、第二次世界大戦後には再び隆盛することができたのです。