「標本同治」って何?~病気の「本」と「標」の違い~

標本同治とは

標本同治とは簡単にいうと、根本治療と対処療法を同時進行で行うことを言います。

ただ、両者がバランスよく行われる場合もありますが、

実際にはどちらか一方に重きをおくということも決して少なくありません。

この場合、本は病気の本質のことを言います。

また標自体は病気に関する表面的なことです。

つまり、中国医学では目に見える症状となって出てきているもののことを標と言います。

またその症状が起きていることの問題点そのもののことを本と呼びますが、

中国医学を理解するためにはこの標と本を理解しなければなりません。

中国医学では、標と本に対してそれぞれ違った考え方で接している状態です。

そもそも治療をする場合、急いで治さなければならない場合は標を治すことを目標として行います。

急いで治さなければ患者本人が非常に辛い思いをするとか、

命に関わるというときはその症状を治すことを最優先として対応します。

また、急ぐ必要がないというときは本を治す形です。

少しくらい放置しておいても問題がないと判断できた場合は、本を治療するということです。

ただ標だけを治療した場合は、まだ本の治療が残っています。

その治療をしっかりと行わないと再発する可能性があるので注意しなければなりません。

そこで中国医学では標だけでなく本を治してこそ根本的な解決に至ると考えています。

それぞれを別々に治療を行うことももちろん可能となっていますが、

両者を一緒に行ったとしても何も問題はありません。

つまりそれが標本同治と呼ばれるものです。

したがって、薬を処方する際も、標に対して効果が期待できるものと、

本に対して効果が期待できるものの両方を混ぜて処方する形がとられているのです。

ちなみに西洋医学の場合は病気はウィルスや細菌などが根本的な原因と考えられていますが、

中国医学ではウィルスなどは標となります。

では本は何かというと、体内の陰陽などのことをさすので、西洋医学とは決して同じ考え方というわけではありません。