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病は気から
「病は気から」ということわざがあり、
科学的な観点や近代医学からすると否定しがちになりますが、
長い間の人間の知恵としては、学ぶべきところがたくさんあります。
と言うのも、単に経験則から導かれたというだけではなく、
特に中国医学においての長い間の研究や実績に基づいているからです。
七情とは
七情というのは、喜び、怒り、思慮、憂い、悲しみ、恐れ、驚きという七つの感情ということですが、
この刺激は内臓に直接影響するので、度が過ぎると疾病を引き起こす原因となるとされています。
つまり、それが内傷とも言われますが、七傷ということになります。
これらの感情は、普通の場合は外部からのものごとに対しての反応であり、
生理的に許容範囲内であれば何でもないのですが、
長期的続いての精神的なストレスとなったり、
急激なしかも大きなダメージとなるものであったりすると、
調整機能が働かなくなり、中国医学で言う身体内の陰陽、気血、臓腑機能が調子を崩し、
病気になってしまうということなのです。
人の心の感情
そして、人の心の感情は臓腑気血と深い関係があり五臓とも関係しているので、
過度の感情は悪い影響を与えるとされています。
それを分かりやすく表現すると、次のようになります。
怒りは、度が過ぎると肝気の機能に異常が生じ、肝気が横逆して上衝するので、
ひどく怒ると、手足が冷たくなり、意識不明、人事不省に陥る症候が発生することになる。
喜びは通常は良い影響を与えるが、過ぎると心が緩み、
意識を集中できなくなることもあり、場合によると失神や狂乱ということを招くことがある。
憂いや悲しみは、肺気を消耗するので、意気消沈してしまう。
恐怖は、精を損傷してしまう。
驚きは、慌てふためくこととなり、判断ができなくなる。
思慮のし過ぎは、心悸、不眠、多夢、健忘などの症候に繋がる。
「健全な精神は健全な身体に宿る」とも言われますが、
逆に精神をきちんと保つことが、身体を保つという意味でも注目すべきことと言えます。